ウチノ家系

母から、ウチノ家系について話を聞く。

主に祖父と曾祖父について。

曾祖父は婿養子であり、資産家の家に養子に来た。
お金がたんまりとあるので、働きもせず、一日中酒を飲んで酔っ払っていた。

子供は7人。その長男が私の祖父である。曾祖父は散財し、土地を売り、林を売り、田んぼを売り、墨小屋を売り、と際限なくお金を使った。

一代で家の財産を使い切り、生活が苦しくなったので、彼の妻と長男である祖父に働きに行かせた。家ではもちろん暴力をふるい、いまでいうと虐待を行っていた。

祖父が中耳炎で入院していた時も、彼はすぐに病院から連れ出して、適切な治療を施させなかった。そのために、祖父の片方の耳は聞こえなくなった。

戦争になり、祖父はパイロットの試験に合格するも、耳が聞こえないので不合格となる。皮肉にも、これは曾祖父のおかげだ。

戦後、祖父は祖母と出会って結婚する。祖母には連れ子が4人いた。自分の兄弟と、新しい家族を養うために、祖父は東京に出稼ぎに行く。

東京で現場の仕事をおこない、一段落すると、祖父は彼の家族を呼んで、茅ヶ崎のあたりで暮らし始める。自分で事業を興し、従業員を雇って稼いだ。

母は、祖母に連れられて、昼間っからお寿司をカウンターで食べたり、外車を何台も乗り換えるなど、裕福な暮らしを送る。しかし、祖母の家はもともとお金持だったこともあり、祖母は祖父が稼いできたお金をすぐに使ってしまう浪費家だった。

東京で成功した祖父は、故郷の長崎に帰って事業を行うことにした。しかし見通しが悪く、東京で沢山あった仕事は、東京だからこそ需要があったのであり、田舎の長崎では事業が立ち行かない。

そこで、再度東京に出る。そこで、ほかの女と暮らして、家族を顧みない時期がある。しかし、肺がんになり長崎に帰ってくる。

がんの手術を受け、奇跡的に成功するも、輸血のために肝臓を悪くして、その後は入退院を繰り返し、亡くなる。

祖父は頭がよく、足も速く、絵を描くのが好きで、入賞経験もある。才能にあふれた人も、その人が生まれた環境によってその能力を発揮できない。

彼が、僕が生まれたときにこういったそうだ。
「この子は、俺に似ている。だけど、俺のようになってほしくない。」

母親いわく、祖父は不器用な人だったという。

僕も幼い時は、頭がよいと言われ、足も速く、絵を描いて入賞した経験を持つ。類似点がかなりある。

そして、僕も不器用だ。

現在、本当に周りの環境に恵まれて、世間でいう良い大学に入り、国費で留学をさせてもらっている。

応援してくれるみんなの期待にこたえたいという気持ちが今の僕の最大のモチベーションだ。

なにか大きいことをしたいのなら、まずは自分から。自分が幸せになって、他人の幸せを手助けしたいという気持ちがわく。だから、まずは自分がいいなと思える会社(かなりストライクゾーンが多いのだが・・・)に入り、給料以上の働きをして、お客さんを喜ばせ、上司を喜ばせ、家族を喜ばせる。そして、地域の人たちを喜ばせる。つぎにもっと大きな枠組みで喜ばせる。

面白いことをしたい。もっと知りたい。これは単純で幼くて、未熟者の考えだけど、これが僕のなかにある。そして、誰かのためになりたいという気持ちもある。

大きなことをしたいのなら、大きなお金がいる。たくさんの人がいる。効率的なシステムがいる。そして、大きな犠牲も払わなくてはいけない。

僕にはその覚悟があるのだろうか。

母親からの助言。

1+1=2じゃない。
謙虚でありなさい。
目上の人をたてなさい。
甘えなさい。

全部、自分にとって必要なことだけど、アメリカ帰りの頭でっかちにとっては難しいこと。でも、自分は日本で暮らしてきた範囲で考えると、これは正しい。

能ある鷹は爪を隠す。

うん。いかにも日本っぽい。
でも、いまのところ日本で暮らしてくんだから、肝に銘じる!!

うん、いくぞう。